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サボテンくん
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この物語は、ある一人暮らしの寂しがりやのハニワの物語である。
「トゲがあるヤなやつだけど、なんだか愛らしいサボテンくん。 サボテンくんは、寂しがりやなあなたのペットにぴったり、かぁ。」
ハニワは、パソコンに向かい、インターネットでのオンラインショッピングを楽しんでいた。
「観葉植物じゃなくてペット?サボテンだから、水を時々あげるだけでOK!いつもあなたのペットとして、生活にめりはりを与えてくれます、だって。ふぅん。」
ハニワは、サボテンのペットなんて、何か変なのぉ、っと思いつつもちょっとサボテンくんが気になった。
「・・でも、水をあげるだけで飼える手軽なペットなんて他にいないよね。このさい、サボテンでもいいから、買っちゃおっかな。」
ハニワは、フォームに必要事項を記入し、購入の手続きを取った。
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数日後、緑のまだら模様の箱がハニワの家に届けられた。
箱の中にはサボテンくんがはいっているそうだ。
ハニワは、おそるおそる箱のトビラをあけた。
「うっわぁ!」
思わず声をあげてしまい、ハニワはサボテンくんに釘付けになった。
「なんだよ、じろじろみんなよ。わるかったな、おれで。」
ハニワの目の前にいるサボテンくんは、生意気な口調でハニワに喋ったのだった。
そのサボテンくんときたら、体はサボテンのようにとげとげしていて、その顔ときたら、目つきは性格ワルソーで、口びるはタラコくちびる。ハニワはちゃんとサボテンくんの画像を確認しないで買ってしまったことについて、後悔するしかなかった。 |
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「おれさぁ、長距離輸送で、全然水飲んでねぇんだ。水くれよ。ほら、説明書にも書いてあるだろ?サボテンには水をやれってさ。ぐずぐずしてねぇで、とっとと水もってきやがれ。」
なんだこいつ!と、ハニワは、むかつき始めていたが、いわれるままに、水道の蛇口をひねり、コップに水を入れ、サボテンくんに渡した。
「お、わりいな。」
サボテンくんは、かわいげもなく、ぐびぐびと飲みはじめた。
「っぷはぁ。生きかえったぁ。それにしても、てめーんとこは、いつもこんなカルキくさい水飲んでんのか?ミネラルウォーターぐらい買うとか、浄水器をつけるとかしねぇのか?けっ、けちくせぇうちだなぁ。」 |
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ハニワは、たかがサボテンにいいたい放題いわれて、かちんときた。
「うっわ!何しやがる!」
ハニワのげんこつが、サボテンくんめがけて飛んできた。
「ぎゃぁぁぁぁぁ!」
と、叫んだのは、サボテンくんではなく、ハニワだった。
「いったたたたぁぁぁぁぁぁ!トゲが・・・サボテンのトゲが・・・!!」
「へっへっへっ!ざまぁみやがれ!オレ様は、トゲのあるサボテン様だぜ!」
誇らし気に威張るサボテンくんの目の前には、トゲが刺さって痛がるハニワの姿があった。 ハニワは、悔しかった。そして悲しかった。こんな、むかつくサボテンをペットにしてしまったなんて。
悔しさをこらえて、台所で夕食の準備をしていた。その間、サボテンは、テーブルの上に寝転んで、テレビをみていた。すっかり、ハニワの家を我が者顔で占領しきっているのだ。
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「おーい、ちょっとこの部屋、寒くねぇか?暖房いれろよ。おれ、サボテンだぜ。」
ハニワは、サボテンの言葉を無視した。
「・・・おい、聞いてんのか?寒いっていってんだろ?」
サボテンくんはハニワが動きそうにないのを悟って、自分からハニワに近付き、 足下に自分の手をハニワに差し出し、ちくんとやった。
「うぎゃぁぁ!!いったぁぁい!」
ハニワはサボテンのトゲにやられた。
「とっとと暖房つけておけば痛い思いをしなくてすむのに、ばっかじゃねぇの。」
ハニワは泣く泣くサボテンくんのために暖房をつけにいき、サボテンくんは、またテーブルの上にふんぞりかえってテレビをみていた。
ハニワは毎日サボテンくんのとげにさされて、生キズが絶えなかった。ハニワは、サボテンくんを負かしてやる!と、トゲ抜きをみせびらかして脅したり、水の変 わりにお酢をあげたりしてみたが、いつも結局、サボテンくんの攻撃を受けてますます生キズを増やし、ストレスがたまる毎日だった。
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こういう生活が数日続いたある日のこと。
「あのさぁ、おれが今日、料理作ってやるよ。おなえ、呼ぶまで隣の部屋で待ってろよ。」
突然、サボテンくんがこうハニワに切り出した。
「えええ!?ほんと!??」
ハニワは、びっくりした。やっと、自分の気持ちに気付いてくれたのかな、と、ハニワは、うれしくなった。
ハニワは喜んで、となりの部屋にいき、待った。テレビをみたり、本を読んだり。友だちに電話してみたり。あれれ、台所で何かしている気配もないし、料理のニオイがしないなぁ。お腹すいたなぁ、ギュルギュルギュル・・・・。でも、せっかく作ってくれるっていってくれたんだから、待とう。ハニワは、またテレビをみたり、新聞を読んだりして時間を潰した。
数時間待っても、なかなか呼ばれない。ハニワはすごーくすごーくおなかがすき、耐えられずに部屋から出たら、料理を何もつくっていないのに、テーブルの上で寝そべってテレビを見ているサボテンくんを見つけた。
「・・・きみ、何してるの?ごはんは?」
ハニワは冷静にサボテンくんに尋ねた。
「あ、おれ?おれ、テレビみてんだ。おまえ、めしができるのを待ってたんだっけ。おれさぁ、サボテンだからさ、ついつい仕事さぼってん。なんちって!おもろいだろ?な?な?な?」
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・・・空腹で我慢の限界を超えたハニワは、そのくだらん駄洒落にハラワタ煮えくりかえった。
「もう許さない!サボテンのペットなんか入らない!とっとと出てけ!出てかなかったら、新聞紙にくるんで捨ててやる!」
ハニワは、すごい剣幕で怒りだし、さすがのサボテンもビビった。
その時だった。サボテンくんが、急に頭を押さえて、痛がり始めた。
「うぅぅぅぅ、いたたたた・・・・」
ハニワは、どうせこいつのことだ、仮病なんか使いやがって、ずるいやつだ!と思って、無視し、自分の部屋にこもって、布団に潜ってねた。 |
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翌朝、寝ぼけまなこのハニワの目にサボテンくんに赤い物体を見つけた。
「あれ、どうしたの?その頭・・・・。」
生意気な顔をしたサボテンくんの頭には、可愛らしい赤い花が咲いていた。
「わぁ!赤い花が咲いたんだ!かわいいね。でも・・・・。ぷぷぷ。」
「うるせぇな!悪かったな!こんなオレが可愛い花なんかつけちゃって、っていいたいんだろ? しょーがねーだろ!おれだってこーみえてもサボテンなんだから!」
威勢よく言い返しておきながらも、照れているサボテンくんをみて、ハニワは、このサボテンとうまくやっていける、という自信が出てきた。 |
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その翌年、サボテンくんは、赤い可愛い花を3つつけたらしい。 |